AISEP2日目,駒場にお越しいただいた羽生先生への質問タイム。
まずは李軒君。
歴史学科に所属する彼の質問は,以下の通り。
Q. 日本将棋の発祥は?
A. インド発祥のチャトランガであると考えられる。
Q. その歴史的資料はあるのか?
A,1000年前~1500年前頃に日本に伝わったと言われているが,
文献学的な証拠はないと思われる。
Q. 今の将棋の形になったのは?
A. 約400年前。それ以前には将棋のルール変更は何度もあり,その度に将棋の形は変わった(大将棋など)。
Q. 400年前に現在の将棋の形が定まった時,将棋を指していたのは庶民?上流階級?
A. 約400年前に幕府が現在の形の将棋を認定して以降,家元制度で成り立つ「プロ」が存在した。しかし彼らは将棋を指すのではなく,詰将棋を作ってお上に献上することを主な仕事としていたため,将棋を楽しんで指す一般大衆との交流はなかったと考えられる。
次はマレーシアからの参加者,Voonの質問。
Q. 外国人は日本のプロ棋士になれるか?
A. 可能とおもう。
かつては日本で生活しないとプロのレベルに達することは難しかったが,
現在はインターネットで,ある程度のレベルに到達することは容易になったため
海外でプロ棋士を目指す人が出てくる,というのは自然なことと思う。
しかし現実問題として,東京や大阪での生活にかかる経済的負担は大きいように思う。
Q. もしその困難を乗り越えられたらどう思うか?
A. 相撲の世界では,横綱でも大関でも海外出身者が大部分。
ウィンブルドン現象といわれるように,あらゆる分野がグローバルに開かれた現在の世界では
将棋界に他の国の人が参加するようになるのは,時間の問題ではないか。
次は,通訳の李さん
Q. 羽生先生の睡眠時間は?スランプはどのように乗り越えるか?
A. まちまちだが,6~7時間は寝ているので,ふつうの人と同じぐらい(笑)。
スランプは,その原因が実力か不調かを考える。
実力のときは,自分の力不足なので,努力あるのみ。
たまたま巡り合わせが良くなくて,自分のやってることが結果としてあらわれていないときは
気分を変える(生活習慣を変える,あたらしいことにチャレンジする等)。
最後は,私スタッフ澤田の質問。
Q. 20過ぎから将棋を始めた人に,どのように将棋の楽しみ方を教えるか,
またどうしたら上達するか?
A. 将棋を続けていくのに大切なことは,難しい本を買ってよむのではなく(嫌になるから),
一手詰めや3手詰めなど,簡単なことをたくさんやる。
基礎をきっちりすれば,年齢が上がった方が応用力も高いので,
年齢が上がった人でも,決して遅くはない。」
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将棋の歴史や,外国人が日本のプロ棋士になる可能性から
羽生先生の睡眠時間とスランプの乗り切り方など,様々な質問がなされました。
今回最も印象的だったのは,やはり自分のした質問です(笑)。
将棋が好きな人には,小さい頃からずっと指している人
あるいは指さないまでも,何らかの形で小さい頃将棋に接していた人がほとんど。
そんな人たちに囲まれて,初心者の私との棋力の差は歴然で
棋譜を見てもわからない,棋譜を見て言ってる友達の言葉がわからない,
将棋は異世界だ,やめよう,となることが非常に多かったのです。
ですから将棋を小難しいものとしてではなく,まずは詰将棋のようなパズルと捉えて
はじめのうちは簡単なものをたくさんやって,嫌にならないようにするという羽生さんのアドバイスには,思わずうなってしましました。
ルールを覚えたらまず簡単な詰将棋を,パズル感覚ですること。
子供の頃に将棋に触れる機会がなかった大人への将棋の普及にはとても効果的ではないでしょうか。
将棋の棚ではなく,クロスワードパズルや数独の雑誌の棚に,
とっつきやすい表紙で簡単な詰将棋パズルみたいなのが書店に並べば
きっと将棋に興味を持つ人,出てくると思います。そうなればいいのになぁ。
そんなこんなで私澤田は,この日以来毎日のように
ネットで本で,3手詰めをしています・・・!
1 件のコメント:
羽生さんは将棋で負けた日は、お酒など飲まずに早めに寝るとおっしゃっていたと記憶しています。
なので睡眠時間6、7時間というのはすこし短い印象でした。
9時間とか寝ていそうだな、と・・・。
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