2008年5月20日火曜日

危惧:将棋文化の衰退


こんにちは、山内一馬です。

さて、先週木曜日に東京大学駒場キャンパスにて第一回事前勉強会を開催しました。

日本側参加者4人とスタッフにはあらかじめ、事前課題を提出。
「現状で抱えている問題点」
「それに対する解決案」
「自分や、自分の世代が、解決に向けて取り組めること」
それぞれを400字程度の日本語で書いてきてもらう、というものでした。

今回、英検1級を持つ中学3年生も特別参加。国際ビジネスコンテストにスタッフとして参加していた大学生や、海外ホームステイの経験がある学生、また逆に一回も海外に行ったことのない元奨励会員の大学1年生もいました。

皆共通して抱えていたのは、やはり、
「将棋文化の衰退への危惧」

地方の問題もある。アナログ故の、弱さ。
コア層=コアなプロ棋士ファンまたは大会参加者のような強い人にしか目が向けられない状況。
ネットを介することによって、従来持っていた意味、意義を失った部分もある。

アマ女流名人でもある笠井さんは、女性への普及の課題の解決策として、自身が今取り組んでいる、女性間ネットワークについて話してくれました。
それに対し、将棋を特に知っているわけではない澤田さんからは、「それでも、野球など女性の数が少ない分野もある。激しく戦うようなゲームが、もしも女性にとって強い関心を持ちにくいものなのであれば、無理に女性を増やす必要があるのだろうか」という視点が投げかけられました。

将棋の持つ「美」の要素を活かした普及はできないか。教育と絡める、ほかの日本文化と絡める・・

プロでもある中村君からは、「将棋の魅力を伝える人物が欠如している」との問題が挙げられました。たしかにそうかもしれません。「普及」、「将棋文化の新興」という観点から、人材を育てることはできているのでしょうか。

なにしろ、インターネット上での情報によると、現在、将棋連盟の予算の6割が棋士の対局料に使われる一方で、普及開発費には1パーセントに満たない額しか割かれていないという話もあります。もちろんこれは正確な情報源を確認する必要がありますし、棋士の生活を置き去りにして普及ばかりに精を出すのも本末転倒なことかもしれません。それでも、「普及」という観点で見れば、まだまだできることはありそうですね。

何より、そうした問題意識を、中学生から大学生まで若い世代が真剣に考えていることに、少なからぬ驚きを覚えました。

他国の学生も、このような危機感を抱いているのでしょうか。これから、聞いてみるつもりです。

(補足)
議論を行うにあたっては、まだまだ甘い部分があるともいえるでしょう。

―何をもって「衰退」と言うのか。
―どういう理由により、それが問題と言えるのか。
―現状を正確に把握できているのか。

特に三つ目の点については、レジャー白書など関連資料に目を通す必要があります。また、日本将棋連盟のみならず、将棋メディア媒体、スポンサー企業、個人スポンサー、アマチュアプレーヤー、幼児・児童層、その親、学生、プロ将棋ファン層、普及NPO、文化機関、あらゆるアクターが密接にかかわりあっている現状をある程度正確に把握しないことには、そしてその複雑な状況の中で、自分たちなりの観点・切り口を明確にしないことには、地に足の着いた議論であるとは言えません。

まだまだ高校を卒業したばかりの参加者も多い中で、最大限彼らの問題意識を引き出し、その上で説得力ある議論を最大限展開させていくのは、スタッフの役目でもあります。

次回は、中国人以外でのシャンチー世界チャンピオンでもある、所司和晴七段を訪問し、事前勉強会第二回を開く予定です。

AISEP開催まで、あと10日。

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